薬害耐性菌という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
薬害耐性菌とは薬に対する抵抗力を持っている菌の事で、薬に対する抵抗力があるので薬が効かなかったり、効きづらくなったりします。
薬が効きづらいという事は、菌を撃退することがしにくくなるため、病気が長引いてしまうことや、重症化することにつながります。
場合よっては、病気の治療がうまくいかずに死につながってしまうこともあります、なぜ薬害耐性菌が誕生してしまうのでしょうか?
〇薬害耐性菌はどうやって発生してしまうの?
薬害耐性菌は、菌が薬を分解する酵素を排出してしまう事や、菌が変異して薬が効かなくなる事、薬を排出する機能を獲得する事によって発生します。
自然に薬に対して抵抗性を持っている菌が誕生していることもありますが、抗菌薬を使用することによって薬害耐性菌が発生しやすくなっているとされています。
また、菌は遺伝子をやり取りすることがあり、薬害耐性を獲得した菌が他の菌と遺伝子のやり取りを行うことで、薬害耐性菌が新たに発生してしまうことがあります。
菌の遺伝子のやり取りは同種の菌同士に限らずに、異種の菌ともおこなわれるため、抗菌薬を使用したことが無い菌であっても、薬害耐性を獲得していることもあります。
抗菌薬を使用すると薬害耐性菌が発生しやすくなるのは、薬に抵抗性がない菌を撃退し、生き残った薬害耐性菌が増殖してしまうためです。
薬害耐性菌は抗菌薬を使用することによって発生していますが、間違った使い方が薬害耐性菌の増殖を早めるとされています。
○薬の飲み方が薬害耐性菌を発生させてしまう!
薬害耐性菌を発生させてしまう原因の一つに、服用する薬の量が少なかった場合があります。
薬の服用量が少ない場合、菌を撃退する能力が低いため、菌が生き残りやすくなってしまい、薬害耐性菌が増殖しやすいとされています。
また、同じ薬を長期的に使用するのも、薬害耐性菌の発生しやすくなり、長期的に抗菌薬を使用する場合は、複数の抗菌薬を使用し、薬害耐性を獲得してしまった菌も他の薬で死滅させる必要があります
薬の服用量が少ない場合や、治療のために同じ薬を長期利用するのは患者の間違いではありませんが、患者も注意しないといけないことがあります。
私たち患者が薬害耐性菌を発生させたないようにするためには、医師からもらった薬は最後まで飲み続けることです。
薬を飲んで症状が治まってくると、安心して薬を飲まなくなる人もいますが、途中で薬を止めるのは薬害耐性菌が発生しやすくなります。
薬によって菌が減少し症状が治まっていても、体内の菌が完全に撃退できたわけではありません、途中でやめると減少した菌が再び増殖してしまいます。
さらに、薬をやめて増殖した菌は、薬に対して少なからず抵抗性を持っていると考えられ、抗菌薬の効果が減少してしまいます。
最悪の場合には、薬が効かなくなり病気が重症化し、治療が上手くできずに死亡してしまうこともあります。
処方された薬は最後まで飲みきるようにしましょう、特に抗菌薬や抗生物質、抗ウイルス薬といった薬は、最後まで飲みきることが大切です。
〇新しい抗菌薬が減っている
薬害耐性菌は抗菌薬を使用することによって、抵抗性を獲得してしまった病原菌です。
新しく開発された抗菌薬は、菌に使用されたことがないため、薬に耐性をもっている菌がいないため、薬害耐性菌に有効です。
しかし、新しい抗菌薬は何個でも簡単に作ることができる物ではなく、何年もの時間をかけて実験をして、効果や安全性を確かめて合格した薬です。
そのため、薬害耐性菌を発生したら、新しい抗菌薬を使えばよいというわけではないのです。
薬害耐性菌が出るたびに新しい抗菌薬を使用していたら、薬の開発が間に合わなくなってしまいます。
実際、薬害耐性菌は増殖し続けていますが、新しい抗菌薬の数は年々減少しているともいわれており、薬害耐性菌に使用できる新しい抗菌薬は少なくなってきているのです。
つまり、誤った薬の使い方を減らし、できる限り薬害耐性菌を発生させないことが大切になってきているのです。
薬害耐性菌を発生させないためには、私たちが医師の話をよく聞いて、薬を最後まで服用することが大切です。
病気になっても、薬が効かなくなったら困りますよね、薬は最後まで飲み続けるようにしましょう!