精神疾患のなかでも最もよく耳にするうつ病は心の風邪ともいわれ、気分障害の一種になります。
そんな、うつ病に代表される気分障害は、気分の変化によって日常生活に支障をきたす場合や、苦痛を感じてしまう事もある精神疾患です。
うつ病はよく耳にするようになりましたが、実はうつ病に代表される気分障害は1種類だけではないのです。
〇気分障害に複数の種類があります。
気分障害の中で最も知られているうつ病は、大うつ病性障害の事になります。
大うつ病性障害が最もよく見られるタイプであるため、大うつ病性障害以外には、非定型うつ病、メランコリー型うつ病、仮面性うつ病、季節性うつ病、双極性障害などの複数の気分障害が存在しているのです。
また、気分性障害は種類によって、症状には違いがあるため、一般的に知られている意欲の低下、不眠、食欲低下、不安といった症状とは違う症状が出てくることもあります。
さらに、うつ病とは全く逆の症状で、食欲が増進したり、寝すぎたるといった症状がでる気分性障害もあります。
気分性障害は種類によって全く違った症状がでてくるため、うつ病とは違う症状が出ていても、抑うつ状態などの症状があれば、気分障害の可能性は十分にあるのです。
うつ病には出てない気分障害の症状には、どのような症状があるのでしょうか?
〇精神的な症状が出てきにくい仮面性うつ病
うつ病の代表的な症状は、抑うつ状態、意欲の低下、不眠、食欲低下、不安などと言った精神的な症状が多いです。
しかし、仮面性うつ病の場合は、精神的な症状よりも、肉体的な症状が出やすく、疲労感、食欲低下、腹痛、めまい、耳鳴り、頭痛、胸痛などの症状が出ます。
しかし、これらの症状は精神的な影響によって発生しており、肉体的な病気があるわけではありませんので、内科に受診しても症状の原因を発見することができません。
そのため、病気の発見が遅れやすく、仮面性うつ病の病状が進行して、精神的な症状が強くなり、大うつ病性障害になってから病気が発見されるという事もあります。
もちろん、うつ病ですので、意欲の低下や不眠、不安感などの症状が出ますが、大うつ性障害に比べると症状は小さな物になります。
原因不明の肉体的な症状と一緒に、軽い精神的な症状が出てきている場合には、仮面性うつ病の可能性を疑ってみても良いかもしれません。
〇気分障害によってテンションが高くなることも!
うつ病といえば、抑うつ状態、意欲の低下や不安感と言った、気分がさがる病気ですが、気分障害の中には、気分が高くなりすぎてしまう躁状態と、気分が下がるうつ状態が繰り返す双極性障害という病気もあります。
うつ病に非常に似た症状があるとかと思えば、気分が良くなることもあるので、病名の判断が難しくなってしまいます。
また、うつ状態で病院に受診して、うつ病と誤診されて治療を受けた場合には、症状が悪化してしまうこともあります。
さらに、双極性障害には激しい躁状態が出るⅠ型と、軽い躁状態が発生するⅡ型の2つに分けられています。
Ⅰ型の激しい躁状態が出ている場合には、一日中話したり、非常に行動的となり、気分が良いためいらない物までどんどん買い物をしたり、暴れて物を壊してしまったりすることもあり、生活に大きな影響がでます。
対して、Ⅱ型の場合は、いつもよりも明るくなり、活発的に行動しますが、Ⅰ型ほど大きな影響はなく、数日で症状が治まることが多いです。
Ⅰ型の方が周りに影響が大きいため、双極性障害であることに気づきやすく、Ⅱ型は見過ごされる可能性が高くなります。
どちらの、症状も自分では異常な気持ちが高くなっていることに気づけないため、周り人が気付くことが大切です。
うつ病の症状がありながら、気分が高くなる時があるのは、双極性障害の可能性があります。
〇気分反応性がある非定型うつ病
うつ病になると、抑うつ状態、意欲低下、不眠といった症状ともに、趣味など自分の興味がある物にも反応が薄くなります。
しかし、非定型うつ病の場合は、自分の趣味や興味がある事に反応して、抑うつ状態から回復します、これを気分反応性と言います。
自分の嫌な事を目にすると非常に気分が沈み、自分の興味がある物には、気分が回復する浮き沈みの激しい気分障害となります。
気分の浮き沈みがあり、自分の好きなことは積極的に行動することができますので、周りから見ると怠けているように見えるのも特徴の一つです。
比較的に軽度のうつ状態となるため、周りが症状に気づけないことも多い気分障害となります。
このように、気分障害は病気によって、症状が少しずつ違ってくる物なのです。
また、紹介した以外の症状が出てくる気分障害もありますので、抑うつ状態といった症状がある場合は、早めに心療内科や精神科に受診することをおすすめします。